今回は、音楽の基本要素のひとつである「メロディ」を取り上げます。
メロディは「コードやリズムの上位にある音楽のパートである」と言うことができるでしょう。メロディにはさまざまな形や長さがあり、それに歌詞がついたり、そのまま楽器で演奏されたりします。
メロディには、非常に高い音も低い音もあり得ます。あなたが好きな曲をいくつか思い出してみましょう。バイオリン、ギター、サックス、トランペットなどの楽器や、女性または男性のボーカルによるメロディには、高い音によるメロディもあれば、低い音によるメロディもあります。
覚えておくべき最も重要なことは、メロディには常に「1度に1つのピッチだけがある」ということです。
今回は、ミュージシャンが持つ最もシンプルな音楽の概念である「メロディ」について(あらためて)学んでみましょう。
メロディは「歌える」ということ
人は一度に1つの音しか歌えないため、自分の声を使ってそれがメロディであるかどうかを判断できます。メロディのさまざまな部分を識別する方法と、いろんな種類の音楽の例を紹介していきましょう。
これまでに聞いたことのある、または歌ったことのあるメロディを思い浮かべてみてください。きっと誰もが一度は歌ったことのある「ハッピーバースデー」?サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」?ベートーヴェンの「エリーゼのために」?それぞれ、実に独特で美しいメロディです。
メロディラインは私たちの周りにたくさんあり、五線譜を使うことで書き留めることもできます。歌のメロディの例をいくつか挙げて、その面白さを見てみましょう。
まずは、非常にポピュラーな「ハッピーバースデートゥーユー」(パティ・ヒル&ミルドレッド・J・ヒル)から始めます。このメロディはシンプルですが、少しくわしく見てみると「短い音と長い音」で構成されているのがおわかりでしょうか?
歌におけるメロディとは?
音楽において「メロディ」とはどういう意味を持つのでしょうか?ポピュラーミュージックの場合、メロディは歌手が演奏するパートを意味することがほとんどです。
下の楽譜を見てみてください。これは冒頭部分のフレーズとふたつ目以降のフレーズを比べたものですが、これらはまったく同じ音の高さを使用した短いフレーズになっています。
「異なるセクションでまったく同じメロディが使用され、歌詞だけが異なる」というのは、実によく見られるパターンです。これを「バース」と呼び、ポピュラー音楽のほぼすべての楽曲でこれが行われています。(バースは「サビに入るまでの導入部分」であり、邦楽だと「Aメロ」にあたりますが、「Bメロ」を含む場合もあります)
バースの後にはコーラス(=サビ)が続きます。このセクションでは、同じメロディが繰り返されます。
以下は二つ目以降のフレーズです。冒頭のフレーズとまったく同じ音程およびほぼ同じ音符が使用されていますが、歌詞が同じではないことに注目してください。作詞作曲では、歌詞を合わせるために1つ、または2つの音符を追加することがありますが、ボーカルのメロディは同じ形になっています。
音楽のメロディをどのように作ればよいでしょうか?
この疑問には、「ハッピーバースデー」から始めてみるのがよいでしょう。冒頭の楽譜に戻ってみてください。この曲はハーモニーもコード進行もなく、とてもシンプルな曲です。複数のボーカルで合唱もできますし、どんな楽器でも演奏できます。
この曲には4つのフレーズがあり、同時代のヨーロッパ音楽と同様に、とても基本的なメロディのルールに従って作られています。ここで一度、なにも考えずに「ハッピーバースデー」を歌ってみましょう。
各フレーズが「ハッピー」という2音で始まることに気づきましたか?各メロディの始めの2音のフレーズはまったく同じですが、その後のメロディの動きが展開していきます。この形はポピュラー音楽でよく使われています。メロディの各フレーズは同じように始まり、その後、少しずつ別の形で展開されていくのです。
この曲は、Skooveアプリで練習することができます。興味のある方は、右側に表示されているリンクから7日間の無料トライアルを始めてみましょう。この他にも、いろんな演奏方法を学ぶことができます。
バッハがメロディに与えた影響
バッハは、65年間の生涯で1,000曲以上もの作品を作曲したことをご存じですか?
音楽におけるメロディの定義はバッハよりも古い時代からありましたが、メロディの意味に間違いなく影響を与えたのがバッハです。
一般的にメロディは歌えるものだと考えられていますが、必ずしもメロディは歌われなければならないということではありません。私が個人的に好きなメロディラインのいくつかは、歌手がいないのが普通だったクラシック音楽からのものです。
バッハは特にメロディの使い方に秀でており、おそらく史上最も重要なクラシック音楽家として知られる存在です。彼はシンプルな音楽的アイデアを取り上げ、それをさまざまな楽器に広げる手腕を持っていることで知られていました。
下の楽譜は、もともと合唱用に作曲された彼の作品「主よ、人の望みの喜びよ」からの抜粋です。メロディがとても美しいため、今日ではあらゆる楽器のスタンダード曲となっています。
このメロディでバッハが行った興味深いことのひとつとして挙げられるのは、「8分音符だけを使った」ということです。通常、ミュージシャンが曲を書くときはさまざまなリズムを使いますが、バッハはここで8分音符だけを使用しています。これは優れたフレージングによって音楽を美しくしている好例と言えるでしょう。参考までに音符の長さを以下に示します。
(上から順に、全音符、2分音符、4分音符、8分音符)
Skooveは、ピアノを学んでみたい初心者、特にバッハの曲を演奏することに興味がある人にとって素晴らしいプラットフォームでもあります。上記の例は、ピアノを始めたばかりの人向けにピアノレッスンを提供するSkooveアプリから抜粋しました。
このアプリでは、さまざまなメロディや曲を弾く方法が学べます。クラシックからポップスまでさまざまな種類の音楽が収録されているだけでなく、どのように弾けばいいのかをアプリ上で実際に見ながら、 楽譜の読み方を学べる優れたアプリです。
メロディの範囲
まず、下の動画にあるメロディラインを聴いてみてください。みなさんもよく聞いたことがある「エリーゼのために」です。ここでは、一度に(ほぼ)1つの音符しか弾かれていないことに気付かれましたでしょうか?また、このメロディラインはピアノの両手に広がっています。
ゆっくりでもいいので実際に弾いてみると「両手を使って演奏しているのに、ひとつのメロディとして機能している」ということに気付きます。また、このメロディはハーモニーとまったく同じ音になっており、これが曲のインパクトや分かりやすさにつながっているのです。
「エリーゼのために」は進んでいくにつれて、音符が広がっていくような箇所があり、これは「跳躍進行(Disjunct Motion)」と呼ばれます。ピアノ理論を練習するのにも最適な曲と言えるでしょう。
このようなメロディの演奏を学ぶ際にも、Skooveアプリが役立ちます。もちろん、この「エリーゼのために」も収録されていますので、ぜひ挑戦してみましょう。
メロディは、必ずしも人が歌う必要はありません。クラシック音楽やインスト曲など、歌詞のない音楽はたくさんありますが、メロディはいたるところにあふれています。
次のセクションでは、少し演奏の規模を広げたお話をしましょう。クラシック音楽の作曲家が常に行っていたこと、それはオーケストラが演奏する大作を書くことです(このような作品は交響曲と呼ばれていました)。今でいうと、映画のサウンドトラックはオーケストラによるものが多いので、一例を挙げながら、メロディについてのお話を続けましょう。
メロディーとハーモニーの違い
メロディとハーモニーは比較されることがありますが、実際にはこの2つの要素は同時に機能するものです。ひとつのメロディラインが、ハーモニーの上に舞い上がるようなイメージです。ハーモニーを作るすべての音が、そのメロディラインを支えているのです。
ところで、映画館のような思いがけない場所で、ふとメロディを意識したことはないでしょうか?私のお気に入りのひとつは、ジョン・ウィリアムズの楽曲です。ウィリアムズの作った映画サウンドトラックは本当に有名なものが多い一方で、作品は型破りなリズムの使い方で知られています。
下のメロディはフレーズが短く、面白い音型をしています。このフレーズは、ある音程から次の音程へ行ったり来たりしているだけです。低い弦楽器用に書かれていますが、低音を出せる楽器であればどのようなものでも演奏できます。
フレーズは非常にシンプルですが、これが画面と一緒に流れてくるととても怖い感じがするんですね。「記憶に残るメロディの要素を備えているけれど、いわゆる普通のメロディではない例」のひとつとして挙げたい曲です。
この例には、ほぼ2つの音符しかありません。これはメロディと言えるのでしょうか?ここで、最初の質問「音楽におけるメロディとは何か?」の答えを思い出しましょう。
このメロディの例は、「ステップ」の動きを使って、2つの音符のみで構成されている点でとても素晴らしいです(「ステップ」というのは、音符が隣り合っているということです)。
しかし、なぜこのメロディが印象に残るのでしょうか?それは、時間が経つにつれて、メロディのリズムが速くなり始め、リスナーが恐怖を感じるからです。歌詞もなく、コードもないのに、記憶に残るメロディになっている。実に興味深い例です。
ここの音符はそれぞれが互いに向かってゆっくり動いています。この動きは「順次進行(Conjunct Motion)」と呼ばれます。
この曲は「4/4(4分の4拍子)」 で書かれていますが、3連符で始まっていることに注目してください。3連符というと少し難しそうに見えますが、実はとても簡単です。この曲にはテンポ表記がないので、好きなペースで演奏できます。
左手のパートを飛ばして、基本的なピアノコードで伴奏することもできます。メロディラインは大きく上昇する感じがあります。作曲家はその曲の意図に応じてさまざまな書き方をしますが、この曲では壮大な感じを創り出そうとしています。フレンチホルンの音色もその壮大さを支えているようです。
歴史的に見てみると、メロディは一度に1人の楽器奏者または歌い手から生み出されるものでした。民謡のような楽器編成やピアノのみといったシンプルな規模からオーケストラ全体といった重層的な規模まで、どのようなサイズでもそのメロディに伴奏が可能ですが、通常、メロディは単音です。その一方で、2つのメロディを離れた位置に置くことで、魅力的な音楽フレーズが生まれることもあります。 冒頭の例で挙げたサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」は、そのひとつの例として挙げられそうです。ぜひ検索して原曲を聞いてみましょう。
まとめ
今回は「メロディ」について学びました。その特徴について、もう一度振り返ってみましょう。
- 一度にひとつの音符を持つ
- 楽器や声で演奏できる
- 和音を伴うことが多い
メロディにはさまざまな形や大きさがありますが、小さな音のパーツで構成されていることがよくあります。これはポピュラー音楽にもクラシック音楽にも当てはまることがほとんどです。ぜひ、いろんな曲を聞きながら、どのようなメロディになっているのかを分析してみてください。
美しいメロディの演奏方法を学ぶには、Skooveアプリが最適です。このアプリには、あなたも良く知っている素晴らしい曲がたくさんラインナップされており、ゆっくり着実に学べます。ピアノを練習しながら、いろんなメロディをあなたの生活に取り入れてみませんか。
このブログ記事の著者