ピアノのスケール(音階)が分かるようになると、すぐに調号を判別できるようになります。これは、あなたの演奏レベルを向上させるだけでなく、音楽の構成要素を理解する上でも非常に役に立ちます。
なぜ、ピアノプレイヤーはスケールを練習するのか?スケールがどのように機能するのか?スケールを学ぶことにどのような利点があるのか?もし、あなたがこのような疑問や興味を持ったことがある場合は、ぜひこの記事をご一読ください。
ここでは、メジャースケール(長音階)、マイナースケール(短音階)、ブルーススケールを簡単な公式で学びます。この記事を読んだ後は、あなたの練習スケジュールに数分間だけスケールの学習と練習を組み込んでみることをおすすめします。きっとスケールを練習するメリットがすぐに分かるようになるはずです。
- • 音楽の楽しさを — お好きな曲を練習してみましょう。クラシック、ポップス、ジャズや映画音楽など、幅広いレベルの曲をラインナップしました。
- • インタラクティブなピアノレッスン — 音楽理論やコード、テクニックなどが学べるコースをご用意しました。
- •あなたの演奏に合わせたアドバイス — AI搭載アプリのSkooveがあなたの演奏をリアルタイムに分析し、正しく演奏できた部分と改善すべき部分をアドバイスします。
ピアノのスケールとは?
スケールは、きちんと学んでいくと実際はとてもシンプルなものです。これは「それぞれの鍵盤が、一定の距離だけ離れているドレミ順の音符のグループ」ということができますが、順を追って解説していきたいと思います。まず、スケールが「ルート音」と「クオリティ」という2つの要素から成り立っていることを学びましょう。
「ルート音」は、スケールが始まる音です。「クオリティ」は、そのスケールの性質を表すものです。
たとえば、Fメジャースケールであれば「ルート音」は「ファ」になります。Fメジャースケールでは、「ファ」からスケールを数え始めて「ファ – ソ – ラ – シ♭- ド – レ – ミ – ファ」という風に数えていきます。また、スケールの名前の最初にルート音である「F」が付いています。
次は「クオリティ」についてです。Fメジャースケールのクオリティは「メジャー」になります。これは、(1オクターブにまたがる)全音と半音の並び方が、その他のすべての「メジャースケール」とまったく同じだということです。
文章にすると少し分かりづらいので、いったん鍵盤に戻ってみましょう。試しにCメジャースケール(ド – レ – ミ – ファ – ソ – ラ – シ – ド)とFメジャースケール(ファ – ソ – ラ – シ♭- ド – レ – ミ – ファ)を鍵盤で弾いてみてください。音の高さは違いますが、同じ雰囲気がすると思いませんか?つまり、この2つのスケールの「性質」は同じなのです。
今回は初心者向けにピアノのスケールを解説していきます。メジャースケールの音の並び(パターン)から始めて、その他のスケールも解説します。
なぜピアノのスケールを練習したほうがいいのですか?
スケールを練習することはピアノの知識を広げる鍵のようなものだと言えます。フラットやシャープといった調号に対する意識を高めるだけでなく、自然な運指法や指の持久力にもつながります。また、各スケールを速く弾けるようになると、曲が弾けるようになるスピードも上がります。
スケールやアルペジオのための効果的な練習方法はたくさんありますが、五度圏(サークル・オブ・フィフス)の練習に加えて、毎日の練習に取り入れると良いメソッドがいくつかありますのでご紹介しましょう。
練習に役立つ7つのメソッド
- まずは片手ずつじっくり練習します。その後、両手で弾きましょう。(たとえば、左手は右手の1オクターブ下で同時に弾きます)
- オンラインメトロノームを使いましょう。速いテンポでも揺らがずにスケール練習を行うにはメトロノームを使った練習が重要になります。非常に効果があるため、昔から人気がある方法です。
- 毎週異なるキーを弾きましょう。さまざまなキーを弾くことで、調号が覚えられるだけでなく指の動かし方も分かるようになります。
- 練習日記をつけて、すべての練習セッションを記録してみましょう。自分の進捗状況を追うことによって、何が効果的で何が効果的でないかを確認できます。
- さまざまなリズムで練習しましょう。もし音符に付点がついている場合は、まず付点を無視して均等なリズムで弾き始めるのも良い方法です。その後、慣れてきたらさまざまなテンポで弾いたり、(付点を入れ替えて)さまざまなリズムで練習しましょう。この練習は指を鍛えるのに最適なのです。
- ピアノのコードとスケールを組み合わせて練習しましょう。たとえば「左手は基本形のコード、右手は上行のみのスケール」という感じです。Cメジャースケールは簡単ですが、調号を増やしていくと難易度も上がっていきます。
- はじめは1オクターブ分のスケール練習を行います。指の流れが安定してきたら2オクターブ分、その次は3オクターブ分と幅を広げて、最終的には4オクターブ分のスケール練習を行いましょう。
また、米国のSNS「Reddit」のr/pianoフォーラムにいるピアニストたちは、効果的なスケール練習について次のようなポイントを挙げています。
- クラシック音楽でよく使われる指の動きを真似して、練習する
- 特定の音符をグループ分けする(たとえば、多くのスケールの始めの3音は、右の「1-2-3」の指のグループで弾き、残りの5音は「1-2-3-4-5」の指のグループで弾くという感じです。これに慣れるとより早く理解し、演奏できるようになります)
- レガートとスタッカートで練習する
- さまざまなリズムで練習する
- クレッシェンドとデクレッシェンドで練習する
全音と半音について
スケールの構築方法を学ぶ前に、全音と半音についておさらいしましょう。(全音と半音は初めて聞くという方もご安心ください。簡単です)
半音:これは鍵盤と鍵盤の最小距離になります。つまり、適当な鍵盤をひとつ弾いて、そのすぐ隣の鍵盤が「半音」になります。たとえば、「ド」であれば、「ド♯」または「シ」が半音になります。必ずしも白鍵から黒鍵へ(または白鍵から白鍵へ)という意味ではなく、その鍵盤のすぐ隣にある音が半音であることに注意しましょう。
全音:これは「2つの半音分」の距離になります。たとえば、「ド」であれば「レ」または「シ♭」が、全音になります。
ピアノのスケールの種類について
最もポピュラーなスケールは、メジャースケール、マイナースケール、ブルーススケールの3つです。冒頭に「スケールは、ルートとクオリティという2つの要素がある」とお伝えしましたね。ここではスケールの性質(クオリティ)に焦点を当て、それぞれのタイプを見ていきます。
💡ここをクリックすると、ピアノスケールジェネレーターにジャンプします。下記の説明と照らし合わせて読むと理解しやすいでしょう。
メジャースケールを理解する
メジャースケール(長音階)は、陽気で楽しい雰囲気の音楽と結びついています。メジャースケールは、次の半音と全音のパターンで作られます(下の図は「C」のメジャースケールです)
ルート音 – 全音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音 – 全音 – 半音
(スケールの響きは半音の位置によって決まります。メジャースケールでは「第3-4音」および「第7-8音」の間に半音が使われています)
メジャースケールはあらゆる音楽の中で最もポピュラーなスケールであり、またほぼすべてのピアニストにとっての出発点ですが、理解が進んでいくとオルタードスケールのような複雑なスケールにつながっていくスケールでもあります。
マイナースケールを理解する
マイナースケール(短音階)には、主に3つの種類が あります。
- ナチュラルマイナー(自然短音階)
- ハーモニックマイナー(和声的短音階)
- メロディックマイナー(旋律的短音階)
メジャースケールはとても明るく聞こえる一方で、マイナースケールは神秘的であったり、悲しかったり、エキゾチックに聞こえたりするスケールです。より複雑な感情を表現するために使用されることが多いと言えるかもしれません。メジャースケールと比べて、音程の度数がどのように異なるか注目してみましょう。
ナチュラルマイナースケール
ナチュラルマイナースケールは次のような音の並びになります。
ルート音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音
Aマイナーでは、このスケールは「ラ – シ – ド – レ – ミ – ファ – ソ – ラ」になります。
このナチュラルマイナースケール(自然短音階)は、上記のCメジャースケールと同じ運指法で弾きます。音の並びを見てみると「第2-3音」および「第5-6音」の間に半音が使われています。また、このスケールは「エオリアン・スケール」とも呼ばれます。
「ウェラーマン」という曲では、Dのナチュラルマイナースケールが使われており、Skooveアプリではこの曲を弾きながら、このスケールを学ぶことができます。
ハーモニックマイナースケール
ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)は、第7音が半音上がっているのが特徴です。この第7音は調号には現れず、常に臨時記号として出てきます。半音上がったこの第7音により、このスケールでは「第6-7音」の間に半音3個分の間隔があることになります。西洋音楽で最もよく使われるマイナースケールで、次のような構造を持っています。
ルート音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音 – 半音 – 3半音 – 半音
Aマイナーでは、このスケールは「ラ – シ – ド – レ – ミ – ファ – ソ♯ – ラ」になります。
メロディックマイナースケール
メロディックマイナースケールは上記2つのマイナースケールと少し違います。クラシックの音楽理論では、この音階は上行形と下行形で音の並びが変わります。
上がるときは第6音および第7音の両方を半音上げます。しかし、下がるときにはこの第6音および第7音の臨時記号がなくなるため、このスケールは上がるとき(上行形)と下がるとき(下行形)で響きが大きく異なります。
音の並びは次のようになります。
上行形:ルート音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音 – 全音 – 全音 – 半音
下行形: ルート音 – 全音 – 全音 – 半音 – 全音 – 全音 – 半音 – 全音
Aマイナーでは、このスケールの上行形は「ラ – シ – ド – レ – ミ – ファ♯ – ソ♯ – ラ」になります。下行形は「ラ – ソ – ファ – ミ – レ – ド – シ – ラ」です。
ちなみに、ジャズ、ロック、ポップス、その他の音楽では、メロディックマイナースケールは上行形でも下行形でも、上行形と同じ並びになります。Cメロディックマイナースケールであれば、上行形も下行形も「ド – レ – ミ♭- ファ – ソ – ラ – シ – ド」になります。
コントラリーモーションでスケールを練習する
コントラリーモーションとは「反対の動き」という意味です。下の動画の40秒のあたりにあるように、同じ方向(=ユニゾン)でスケールを弾くのではなく、両手で外側もしくは内側に向かっていくような反対方向でにスケール練習を行います。いくつかのキーは非常に難しいですが、この練習はピアノの習熟度を上げてくれる指のトレーニングのひとつとも言えます。
この練習を初めて行うときは、一番簡単な「Cメジャー」から始めましょう。Cメジャーでコントラリーモーションを行うには、ピアノの真ん中にある「ド」(=中央ド)に、両手の親指を置きます。左手で下行形のスケールを弾き、同時に右手で上行形のスケールを弾きます。
難しく感じられるかもしれませんが、実際に試してみると分かることがあります。それは両手がまったく同じ運指を行うということです。運指が同じだと、思ったよりも簡単に弾けることに気づくでしょう。
メジャーペンタトニックスケール
ブルース、ジャズ、さらにはポピュラー音楽でもよく使われるもうひとつのスケールは、「ペンタトニックスケール」です。これは5つの音で構成される短いスケールで、メジャーとマイナーの2種類があります。メジャーペンタトニックは次のように作られています。(分かりやすくするため、ここではルート音の1オクターブ上の音も入れています)
ルート音 – 全音 – 全音 – 3半音 – 全音 – 3半音
マイナーペンタトニックスケール
マイナーペンタトニックは次のように構成されています。このスケールを弾くだけでもブルースっぽい雰囲気が楽しめます。
ルート音 – 3半音 – 全音 – 全音 – 3半音 – 全音
ホールトーンスケールの弾き方
日本語では「全音音階」と呼ばれるこのスケールは、かなり「幻想的」な響きを持ったスケールです。クロード・ドビュッシーは、このスケールを頻繁に使用しています。2台のピアノのために編曲された「La mer(海)」を聴いて、このスケールが持つ不思議な雰囲気を味わってみましょう。
このスケールの構造は名前が示すとおり、全音のみで構成されています。したがって、5音でもなく7音でもなく、6音によるスケールになります。
ルート音 – 全音 – 全音 – 全音 – 全音 – 全音
ピアノスケールジェネレーター
Pianoworldによるこのピアノスケールジェネレーターは、スケールを学習するのに便利で使いやすいツールです。
もし、あなたがスマートフォンでこの記事を読んでいる場合は、端末を横にして、全幅表示にしてください。
- 鍵盤の下にある「Scale」を選択します。
- 「Root」でスケールのルート音を選択します。
- その次に、タイプ(メジャー、マイナーなど) を選択します。
- 右下の「Display」を押します。
スケールのまとめ
新しいスケールのパターンを追求していくと、とても興味深い結果が得られることがあります。新しいスケールを試すことで、悲しみや太陽の光、または宇宙を想起できるようなものに出会えるかもしれませんし、クロマティックスケールのような実験的なものが出てくるかもしれません。また、新しいスケールを基本的なピアノコードと組み合わせてみることもできます。
スケールは、新しいメジャーキーや表現方法を学ぶための鍵とも言えるものです。だからこそ、ピアニストや作曲家はスケールを練習するのです。ピアノ学習アプリのSkooveには、実際にある曲を交えながらスケールについて学べるレッスンもあります。下記のボタンから無料トライアルを始めて、ぜひ奥深いスケールの世界に触れてみてください。
このブログ記事の著者
アルヴィン・シップ